スノボで首を痛めてしまった・・・

先日の症例です。

スノーボードで転倒して首が振られ、その後むち打ちの様になってしまいました。

首のどこを痛めるの?

首が振られると骨と骨を繋いで安定させている靱帯を痛めてしまいます。

特に損傷しやすいのは次の靱帯です。

1.前縦靱帯  首の前側から支えている靱帯です。

2.後縦靱帯  首の後ろ側から支えている靱帯です。

3.棘上靱帯(項靱帯) 「棘突起」と呼ばれる背中のとげとげの部分を繋いでいる靱帯です。

※もう一つ「黄色靱帯」という靱帯がありますが、この靱帯は他に比べて伸びやすいので損傷しにくいです。

その理由は黄色靱帯は「弾性繊維」という柔らかい線維を多く含む為で、弾性繊維は黄色いので黄色靱帯と呼ばれます。

靱帯が損傷されるとどうなるの?

靱帯は骨と骨を止めているバンドの役割を果たしますので、これがないとグラグラと不安定になります。

頚椎は7個あり前にカーブしているので、安定性を失った頚椎は前側にすべってしまいます。

これを「前方すべり症」と言います。

すべり症の何がわるいかというと、1つだけ前にずれているので頚椎の穴から出ている神経が圧迫され腕の痛みやしびれを生じます。

どの辺りの頚椎が痛めやすい?

第5頚椎や第6頚椎あたりが特に損傷を受けやすい場所です。

腕と手に行く神経の事を「腕神経叢」(わんしんけいそう)と呼び、これは第5、第6頚神経もこれを構成する要素となります。

つまり、

転倒して首が振られる

→外傷で靱帯を痛める

→安定性が失われて頚椎がすべる

→神経の出所となる穴が狭くなって神経が圧迫される

→腕神経叢を介して首周りや腕の方に痛みやしびれが出る

この様なメカニズムで首を痛めます。

交通事故でも同じ事が言えます。

治療法は?

〇急性期

痛めた直後は非常に痛みに敏感になっています。

また炎症が起こっている場合もありますので、過度な刺激は禁物です。

当院ではこの段階ではクラニオセイクラルセラピーというソフトな刺激で痛みで固くなった筋肉を緩めていきます。

また痛みで患部を直接触れない場合には鍼治療を行います。

鍼治療には「下行性疼痛抑制系」(かこうせいとうつうよくせいけい)という鎮痛メカニズムがありますので、この効果を狙って鍼を刺します。

〇慢性期

炎症が収まり可動域もある程度出てきた段階で首のトレーニングを始めます。

一度損傷された靱帯は再生する事はありませんので、代わりとなる筋肉を鍛える必要があります。

筋肉によってすべりが進行しないように、セラバンドというゴムを使って鍛えていきます。

また、首の角度によって神経に対する圧迫の度合いが変わってきますので首の体操も取り入れます。