膝の水を抜いたら血が混じっていた
2019年12月23日
スポーツで膝を痛めてしばらく様子をみていたそうですが、がまんしきれなくなり病院を受診し注射をしたところ血が混じっていたそうです。
そもそも水とは何か?
よく「膝に水が溜まって注射で抜いてもらった」などど言いますが、その水とは何でしょうか?
その正体は「滑液」と呼ばれる関節の潤滑油で、やや黄色がかったとろみのある液体で、通常膝には3.5cc程存在します。(1ccは約一滴分です)
関節は「関節包」という膜で包まれており、その中の「滑膜」という部分から滑液が分泌されます。
※指をポキッと鳴る時の音は、滑液の中の窒素ガスの泡が弾けた時の音です。
滑液の役割は?
滑液の役割は以下の2つです。
1.関節の潤滑油として滑らかに動くようにする。
2.関節同士が接する部分の「関節軟骨」を栄養する。(関節の中には血流がありませんので滑液が軟骨を栄養します。)
水が溜まっている時には何が起きているの?
目にゴミが入ると涙で洗い流そうとするように、膝も刺激されると滑液が出てきます。
ただし膝の中は閉ざされた空間で逃げ場がないので、刺激されている間は水はどんどん溜まっていきます。
パンパンに腫れると足が曲げれられなくなって、皮膚が突っ張ってテカテカと光沢が出てきます。
血が混じっているのなぜ?
通常膝の中に血は存在しません。血があるということは靱帯の損傷や断裂(特に前十字靱帯)を示しています。
他にも後十字靱帯や、半月板損傷でも見られますが、前十字靱帯である事が多いです。
まれにキラキラと光って見える事がありますが、これは骨髄から出た脂肪ですので骨折が起きています。
血の中には白血球があって軟骨を食べてしまいますので、靱帯損傷が疑われた場合にはできるだけ早く病院を受診する必要があります。)
MRIを撮って切れているかどうかを最終的に判断します。
手術をする場合はどうするの?
前十字靱帯の手術の仕方は2つあります。
1.BTB(お皿の下の腱を3分の1程切り取ります。)
2.STG(太ももの筋肉の薄筋と半腱様筋をいう筋肉の腱を使用します。)
これを人工の線維と束にして骨に穴を開けてネジで留めます。
スポーツ選手の場合は通常復帰するまで6~12ヶ月を要し、さらに穴を開けた部分ですれるので再断裂のリスクは伴います。
手術をしなかった場合は?
1.安定性がないので周りの筋肉が張ってきます。(特に膝の後ろの膝窩筋)
2.軟骨がすり合うので減って、変形性関節症へ移行する可能性が高まります。
先ずは病院を受診しましょう
スポーツなどで膝を痛めて膝が腫れてきたら先ずは整形外科を受診しましょう。
先ほども説明した通り、出血が起こると白血球が異物と判断して必要なものまで食べてしまいます。これは時間が長ければ長いほどたくさん食べてしまいます。
中には放置してしまい、変形性関節症を起こしてから靱帯損傷が分かることもあります。
こうなるともう遅いので、なるべく早めに整形外科を受診することをお勧めします。