症例 ージョギングで膝が痛いー
その他
2018年6月6日
先日ジョギングによる膝の痛みで来院された方がいらっしゃいました。
膝の痛みと階段の上り下りの時にパキッと音がするのが気になるそうです。
膝の腫れなどはありませんでした。
この時まず考えられるのは半月板の噛みこみです。特に外側の半月板が前に出っぱなしで深くしゃがんだ時にパキッと音がします。ではなぜ半月板が前に引っ張られるのでしょうか?
メカニズムはこうです。
太ももの前の筋肉を大腿四頭筋と言います。この筋肉は膝のお皿を通って膝蓋靭帯という名前になって、その下にある出っ張った所に引っ付きます。この膝蓋靭帯と半月板は実は靭帯でつながっている為、走る、蹴る、立ちっ放しなどで大腿四頭筋が張ると膝蓋靭帯により半月板が前に引き出され曲げた時のパキッを引き起こします。
これを「半月板前角障害」といいます。(前の方にある角みたいな形だからです。)
一時的にならばまだ良いのですが、これが繰り返されると半月板に傷が入ります。
半月板はC字型で縁の部分は血流があるのですが、中心部には血流がありません。
ということは中心部にまで傷が及ぶと縁の部分に比べて再生が難しくなります。
ですのでパキッを放置していてはいけません。
このような場合の治療はこう行います。
1、半月板の噛みこみを確認してアクティベーターで正しい位置に戻す。
すねを捻じることで半月板は出たり入ったりします。その正常な動きをしていない所を調整器具で正します。
2、大腿四頭筋を緩める。
超音波や鍼を用いて半月板を引っ張り出している原因の筋肉を緩めます。
3、足(足根骨)の調整
足はアーチをある事でショックを吸収しています。ですが足の骨の動きが悪くなるとショックを吸収できずに膝へと伝わり膝の痛みへとつながる事があります。特に楔状骨、舟状骨、立方骨、踵骨が多いです。
4、腰の治療
大腿四頭筋を含め、下半身の筋肉は腰から出る坐骨神経や大腿神経に支配されます。腰に問題があると下半身へと波及して膝の痛みへとつながることがありますので、検査をして異常があれば合わせて治療します。
5、ストレッチ
ご自宅でできる大腿四頭筋のストレッチを指導致します。
やり方、時間、セット数、間違えやすいフォームなど細かくお教えします。
6、ヒールスライド
膝の曲げ伸ばしをすることで滑膜からの滑液の産生を促します。
この時足には力を入れず手の力で踵をスライドすることがポイントになります。
変形性膝関節症の方にも有効な方法です。
7、歩き方、走り方の指導
歩き方はテレビなどで大股で腕を大きく振って歩きましょうというのをよく目にすると思います。消費カロリーなどの観点からは良いかもしれませんが、膝に対しては衝撃がもろに伝わってしまいますのであまりお勧めできません。大股で手を振って歩くならばノルディックウォークがオススメです。また脊柱管狭窄症の方で背中が丸まってるのを気にして無理に背筋を伸ばそうとする方もいらっしゃいますがこれも腰痛やしびれを悪化させる可能性がありますので無理のない範囲で行います。
走る場合はつま先でピョンピョン走るフォアフットランが流行っていますが負担の大きい走り方ですので、一般のランナーでは普通の踵から着地する走り方で指導しています。