コンパートメント症候群とは…
その他
2018年4月6日
格闘技やサッカーなどでスネを蹴られた時に、打撲と言って治療にいらっしゃる方がいます。このような方の場合はコンパートメント症候群が潜んでないか注意して検査をします。
人間の手や足を輪切りにしてみると、骨や骨間膜によって仕切られていくつかの部屋になっています。これを区画と言い、この中に筋肉、血管、神経が入っています。この部分に機械的な力(蹴られたり、包帯をきつく巻きすぎたり)が加わると内圧が上がり循環不全から阻血が起こります。特にスネの部分(アンテリアーコンパートメント)で起きやすいので注意が必要です。
アンテリアーコンパートメントには収まっている主なものとその働きです。
- 前脛骨筋→足首を上に上げる(背屈)
- 深腓骨神経→足の拇指と第二指の間の感覚(靴ひもをきつく締めすぎてもなります)
- 前脛骨動脈→足の甲の側へ分布する動脈
- 他に長拇趾伸筋(拇指を上にあげる)、長趾伸筋(他の四つの指を上に上げる)、前脛骨静脈
ですので、次の様にチェックします。
- 前脛骨筋→足首が上に上がるか
- 深腓骨神経→拇指と第二指の間の感覚があるか、健側との比較もします。
- 前脛骨動脈→拇指の爪をぎゅっとしてすぐに色が戻るか、これも健側と比べます。
これらに異常があった場合はコンパートメント症候群の疑いがあります。予後の悪い症状ですので、決して見落としてはならないものです。単なる打撲と思わず頭の片隅にでもこれらの可能性を考えて診察しています。