椎間板障害と膝の痛みの関係

先日の症例です。

ランニングをしていて着地した際に腰を痛めた方がいらっしゃいました。

因みにこの方は併せて腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)という膝の外側の痛みもありました。

(この病は通称ランナーズニーと呼ばれる位走る人には多く見られます。)

今回のタイトルにもある椎間板障害と膝の痛みは一見関係がなさそうですがものすごくあります。

メカニズムは次の通りです。

1.ランニングの着地の際に背骨と背骨の間のクッションに衝撃が加わります。

※各動作と椎間板にかかる力の強さ

歩く・・・体重の3倍

走る・・・体重の5倍

ジャンプ・・・体重の7倍

アスファルトで走る事によってこの衝撃はさらに増えます。

2.押しつぶされた椎間板の中の髄核が神経に当たり坐骨神経を介して足の筋肉の筋力低下を招きます。

具体的には

・前脛骨筋(足首を曲げる筋肉)

・長母趾屈筋(母趾を上に上げる筋肉)

・腓骨筋(小指を上げる筋肉)

です。

特に第1仙骨神経に支配される腓骨筋の低下によって足首は小指が下がった状態となります。

詳しい説明は割愛しますが、足はこの状態になるとロックがかかり衝撃を吸収出来なくなり、足首で受けた力はその上の関節の膝へ伝えます。

(こういう方は足の小指の所がよく当たるのでそこにタコができています。)

すると地面からのショックをもろに受けて腸脛靱帯炎となります。

これと逆に内側が痛くなる事を鶩足炎(がそくえん)と言い、膝が内側に入りやすい女性に多い膝の痛みです。

3.1と2の別のルートで膝の痛みが出る場合もあります。

それは神経を介した痛みです。

椎間板障害を患うと坐骨神経に沿って痛みやしびれが出る事があります。

また場所によっては膝の前側を支配する大腿神経(だいたいしんけい)にそった痛みが出ます。

特に第4腰神経は坐骨神経と大腿神経どちらにも顔を出す神経ですので、ここで椎間板が膨れた場合には前にも後ろにも痛みやしびれが出る可能性があります。