すべり症と言われたら・・・

病院でレントゲンを撮り腰椎の「すべり症」と診断され、現在は当院へ通院されている方がいらっしゃいます。

すべり症と言われたら注意する事があります。

それは「すべり症がある人は高確率で椎間板ヘルニアを発症する」という事です。

すべり症とは?

すべり症は3つに分類されます。

1.先天性すべり症

2.変性すべり症

3.分離すべり症

 

1の先天性すべり症は生まれつき「椎弓(ついきゅう)」という部分が長い人が起きます。

2の変性すべり症はいわゆる加齢変化で起こるもので、すべり症の多くを占めます。

また脊柱管狭窄症の原因にもなります。

3の分離すべり症は幼少期などにスポーツをハードに行う子どもに多く見られ、特に腰を捻るスポーツに多いです。

すべり症になると何がいけないか

すべり症は腰の骨が一つだけずれるので神経の通り道である脊柱管を狭くし「脊柱管狭窄症」を起こします。

これはレントゲンで撮影して分かる事です。

※ちなみにすべりの度合いを5段階で評価します。これを「マイヤーディング法」と言います。治りが良いのはグレードⅠまでです。

そしてすべり症が長期間に及ぶと背骨を上下から挟んでいる椎間板にもストレスがかかります。

特に重力がかかる下の椎間板にかかります。

(例えば第4腰椎のすべり症ならば第4と第5の間の椎間板です。)

こうなると椎間板に「剪断力(せんだんりょく)」という前後方向の互い違いの力が加わり、どこかのタイミングで椎間板ヘルニアを併発する可能性が高まります。

治療法は?

大まかなセオリーとして、

脊柱管狭窄症→屈曲療法(体を丸める) ウイリアム体操

椎間板ヘルニア→伸展療法(体を反らす) マッケンジー体操

となります。

ということはそれぞれ相反する治療を行うので一筋縄ではいかない症例です。

治療は基本的には治りやすい椎間板ヘルニアを優先して、その後残った脊柱管狭窄症の治療を行います。

結論

・すべり症と診断された場合には脊柱管狭窄症と併せて椎間板ヘルニアも起こす可能性が高い。

・脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアはウイリアム体操やマッケンジー体操に代表される様に、全く逆の治療を行う為注意が必要になる。

・すべり症と診断されて治療していても経過が芳しくない場合は椎間板ヘルニアの可能性も考える必要がある。