質問:坐骨神経痛は自然と治りますか?
腰椎椎間板ヘルニア腰痛・坐骨神経痛
2020年7月28日
先日受けた質問です。
患者さんから
「知り合いが坐骨神経痛を患ったのですが、1年くらいかけて自力で治したと言っていました。
そんな事があるものでしょうか?」
と質問を受けました。
答えは「椎間板ヘルニア」による坐骨神経痛であれば、それが起きる可能性があります。
ただし治るまでに6ヶ月くらいはかかります。さらにその間はものすごく痛いです。
坐骨神経痛とは?
坐骨神経とは腰から出た神経がお尻を通って、太ももの裏→ふくらはぎ→足の方へ伸びていて約1メートルほどある人体で最も長い神経です。
この経路のどこかで圧迫などが起こると坐骨神経痛が起きてしまい、その原因の一つが椎間板ヘルニアです。
腰椎椎間板ヘルニアとは?
腰の背骨の間には「椎間板」というクッションが入っています。
またこのクッションはバウムクーヘンの様に輪が重なっていて、中心部には空洞がありそこには「髄核」というゼリー状のものが入っています。
前かがみの姿勢をとると髄核が後ろに追いやられ、腰の神経に当たると腰痛や坐骨神経痛を引き起こします。
神経が障害されると上の図の様に
「筋力」
「感覚」
が落ちてしまいます。
また坐骨神経に沿った痛みやしびれが生じます。
なぜヘルニアで勝手に治ることがあるの?
「ヘルニア」とは「飛び出す」という意味で、椎間板ヘルニアとは髄核が飛び出してしまうことと言います。
飛び出す先は「脊柱管」と呼ばれる神経を覆っている骨の管です。
本来ここにあるはずのない髄核があると脊柱管の中にある白血球が異物と判断して、飛び出した部分を食べてくれます。(これを「貪食」と言います。)
仮に上手く白血球が食べてくれれば神経に当たらなくなるので、痛みやしびれが解消される事があります。
ただ食べ終わるまでに最低でも半年くらいはかかるので、その間は激しい痛み・しびれに耐える事になります。
皮肉な事にたくさん飛び出しているほど異物と判断しやすいのでよくなる傾向にあり、逆に少ししか出ていないと判断の区別がつかずあまり食べてくれない事があります。
これが椎間板ヘルニアが自然と治るメカニズムです。