坐骨神経痛で残尿感が起こる?

先日の症例です。

腰痛と坐骨神経痛で来院された患者さんで、併せて尿感もある方がいらっしゃいました。

年齢は70代後半で男性である事から前立腺肥大によるものかと思い泌尿器科を受診しましたが、

年齢よりもかえって肥大が進んでいないと言われたそうで尚更残尿感の原因が何かとお悩みでした。

坐骨神経は人体の中で最も長い神経で、腰から出てお尻→太ももの裏→ふくらはぎ→足と広がっています。

ということは坐骨神経痛が起こるとその全てに影響が出ます。

その中の一つが排尿をコントロールしている「陰部神経」です。(下図の左上部)

陰部神経に影響が出ると排尿のコントロールが上手くいかなくなり残尿感に繋がることがあります。

またかなり酷い坐骨神経痛が起こった場合には、尿が出なくなることがありこれを「膀胱直腸障害」と言います。

(大便も同様です。)

膀胱直腸障害が起こると尿に含まれるアンモニアが脳に回り非常に危険な状態になりますので、その場合は手術となります。

※脳は大事な場所ですので変なものが入ってこないようにバリアーを張っていて「血液脳関門」、通称BBB(Blood Brain Barrier)と呼ばれます。

今回の症例でも前立腺肥大が無かった事から、腰痛・坐骨神経痛からくる残尿感の可能性があります。